DR-670でStylus RMXを叩く

http://www.roland.co.jp/products/jp/DR-670/images/top_M.jpg
または、トリガーパッドの MIDI ノートナンバー入れ替え機能のないコントローラのための入力 MIDI ノートのトランスフォームマップ作成について。
Boss DR-670 を借り受けている。久々に触るハード音源だ。特に作曲用の音源としてではなく、PC には接続せずに音だけ出してドラムパッドを叩いて演奏、というか指ドラムで遊んでいる。手元に置いて電源入れっぱなしで気が向いた時にボコボコ叩いている。好きなときに音を出せる楽器があるというのは実に良い。ソフトシンセはいくらでもあるがあれは演奏用ではなく作曲用だ。プラグインホスト を介さないと音ひとつ出せない。楽器というのはやりたい時即座にやれるものだ。PC にばかり依存するとそんな当たり前のことも忘れてしまう。
そんなわけで心ゆくまで遊び倒していた DR-670 だったが、せっかく打ち込んでくれといわんばかりのドラムパッドがあるのだから、色々な音源の揃っている PC のドラムマシンを鳴らしてみたくなった。だが Battery のようなドラムキットだとセルが多すぎてほとんどのサンプルがパッドの範囲から外れてしまう。Stylus RMX であれば全てのループ素材が16分音符程度の間隔でスライスされて収録されている上、C1 から順に MIDI ノートへ割り振られている。DR-670 の4*4パッドならちょうど1小節分割り当てできる。渡りに船とはこのこと。
大抵のトリガーパッドコントローラがそうであるように DR-670 のパッドも MIDI ノート配列は下から C1, C#1, D1 ……といった順列ではなく GM ドラムキットに準拠してバラバラにノートが割り振られている。これを順列に入れ替えれば良い……と思ったが DR-670 はキットエディットで音色は入れ替えられるもののノートナンバー自体を入れ替えてコントローラとして使うことはできない。本稿ではそういったノートナンバー固定のトリガーパッドを Cubase を使ってソフトウェアレヴェルで変換する方法を提示する。

Chorderを使ったMIDIインプット・トランスフォーム

まず最初に DR-670 の設定をしておく必要がある。DR-670 はデフォルトの設定では MIDI ノートを出力しない。Shift + MIDI を押して MIDI モードに入り、ドラムパッドの出力チャンネルを決定する。

MIDI 入力を確保したら CubaseMIDI トラックを立ち上げ、MIDI Insert から Chorder を呼び出す。Chorder はシングルアクションでコードをトリガーするための MIDI エフェクトだが1ノートに対し1ノートをマッピングしていけば MIDI ノート・インプット・トランスフォーマとして利用できる。
設定に臨み、Chorder インターフェイス上鍵盤イラストの C1 の位置に注意。Chord Setup では 左から2番目、Trigger Note では左端から3番目の C が C1 になる。入力ノートを再生せず変換ノートのみを出力するには Thru をオフする。作成したコード変換表を保存する際、MIDI エフェクトのプリセット名には OS によるファイル名禁則文字が使えない。スラッシュなどを含む名前をつけて保存を実行すると保存に失敗する。この時特に警告されないので注意。機械的な打ち込みをしたい場合には Inspector の MIDI Modifiers から Vel. Shift を+126すれば強制的にフルオンヴェロシティで打ち込める。
以上で MIDI ノート変換が可能。この方法であれば GM 配列で固定されたトリガーパッドで 順列の音源を叩いたり、逆に Korg ElectribeRoland MC-909 といった本来外部コントローラとしての運用を想定されていない順列のトリガーパッド搭載ギアで BFD のようなドラム配列の音源に最適化することができる。
最後に、想像通り、いや想像以上に Stylus RMX をパッドで叩くのは気持ちいい。キーボードでも演奏は可能だがテンションが比較にならない。打鍵では不可能なフラミングやロールといった奏法もできる。Tube Limitter を甘く噛ませつつ Burning Grooves を叩きつける快感は麻薬的ですらある。かようにStylus RMX とトリガーパッドコントローラの組み合わせは凄まじい相乗効果を発揮する。興味のある人は試してみるといい。新しい世界が拓ける。