Yamaha HS10W

http://www.yamaha.co.jp/news/2005/photo/0509080102.jpg
サブウーファー Yamaha HS10W 購入。

パッチ・ルーティング

サブウーファーの発する超低音はさすがによく響くため、深夜などは自粛しないといけなさそうだ。当初予定していた、HS10W の Output を経由してスピーカーに入力、という直列経路を組んでみたが、これではサブウーファーをバイパスして SP のみ鳴らすことはできない。
そもそも DA-2496 はマスターチャンネルのパラアウトが出来ない、というところから話がややこしくなっている。Audio IF → SP, Audio IF → Woofer というパラレルな経路を組めれば何も問題はないのだが DA-2496 は PC 内でミックスした最終出力が1-2チャンネルにしか送れない。そのため直列経路を予定していたが、実際に設置してみるとサブウーファーを任意にバイパスしたい欲求が生まれてきた。仕方がない。手持ちの機材は DA-2496 くらいしか無いが、これでなんとかシステムをやりくりしてみる。
要はマスターチャンネルを2つ作れれば良い。あまり気が進まないが、こうなればケーブルパッチングである。一度アナログで出力したマスターを再び DA-2496 に戻して、そこからパラアウトする。Output 1-2ch から出力したマスターを Input 7-8ch へ入力する。マスター以外の Input to Output ルーティングは ASIO コントロールパネルで自由に行えるので、Inout 7-8ch を Output 3-4ch, 5-6ch へ送る。これなら ASIO コントロールパネル上で各チャンネルの出力ヴォリュームを個別に制御できる……と思ったら、ASIO コンパネ上で Input 7-8ch をミュートしているにも関わらず Output 3-4, 5-6ch から音が出てしまう。ヴォリュームの調整も反映されない。なんだこれは……ダイレクトモニタリングが切れていないのか! しかしそのような設定項目は無い。一体どうしろと言うのだ。オーディオインターフェイスとしてこれは通常の挙動なのだろうか、そんなわけはないと思うのだが。後で UA-1000 で検証してみたい。
パッチルーティングならではのメリットが失われてしまいさらにデメリットがしっかり残る。まず一度アナログで出した音を戻してまた出して、とやっているため、アナログケーブルを通すだけでも余計なのに A/D, D/A と信号変換プロセスが2手間かさんでしまっている。また、音が出戻っているためレイテンシーが理論値でバッファサイズの2倍になっているはずである。もっともダイレクトモニタリングできているのであれば関係ないのだが、この辺りはよくわからなくなっているのが正直なところ。 DA-2496 の挙動が不信すぎる。

サウンドセッティング

そんなこんなで、全然フレキシブルではないが一応目的とした「任意にサブウーファーをバイパスできるシステム」は形になった。次は音質面の調整である。
まず、HS50W もそうだったが、出力レヴェルがとんでもなくデカい。DA-2496 から定格出力したとき、HS50W はヴォリュームつまみ1目盛りでお腹いっぱいというか一体どういうシチュエーションならこれ以上の目盛りを使うことがあるのか疑問だったが、HS10W はいっとう手に余る。1目盛りまですら回せない。やりづらいが、いくつかリファレンストラックを流しながら適値を決めた。HS10Wのつまみを最大に捻ればスズメくらい落とせそうだ。
HS50M, HS10W とも全設定フラットにして試聴を続けてみる。低音は充分得られているが、なにか音に濁りがあるように感じて落ちつかない。何を設定すべきかと考えて、HS50M の HPF に気付く。100Hz から下を切ってみるといっぺんに音がすっきりした。暗雲去りて晴天来たり。なるほど、クロスオーヴァーを作ってやればよかったのだな。HS10W 側では LPF を 100Hz に設定した。このへんはシリーズ商品で揃えただけあって手軽にできた。これが HPF のないモニタースピーカーだったらチャンネルディヴァイダーが必要になるところだ。

所感

これがモニター用サブウーファーか。音場は実に良くなった。低音が出るとはこういう事だったのだな。あのクラブのパーティーであの秘境のレイヴで味わった低音が今自分の部屋で鳴っている。感動である。ずいぶん昔、Kenwood の墓石のごときモノリスウーファーをおったてていた時とは次元が違う。家庭用のブウーファーなど超低域がむやみにブーブー言うだけのものかと思っていたがとんでもない。決して腹に来るような音など出ない。されどキックの沈み込みまでしっかり把握できる。
低音がしっかりあることで音にここまで奥行きと立体感が生まれるとは思わなかった。驚いたのは、曲中のルームアンビエンスやリヴァーブがやたらとはっきり感じられるようになった。不思議なようだが、考えてみれば残響成分は通常上から下へと減衰していくわけで、低域によりたまっているのだな。
別世界だ。まだまだ上には上があるのだろうが、これでも自分が体験した音の中ではすばらしく良い環境である。こんなに音が良くていいのだろうかと思うくらい、良い。音楽を聴くのが楽しくてたまらない。そうやって3時間ほどリスニングを続けたあたりだろうか、普段より聴き疲れしているのに気付いた。そもそも僕は自宅で聴き疲れなどほとんどしたことが無かった。やはり充分な低音というのは身体に多少負荷を掛けるものらしい。気配りを持たなければならない。自分も他人も痛めつけないために。