フラットモニターオーディオに取り組むメモ

フラットモニター環境を得るためそろそろ本格的にオーディオに取り組みたい。

前提

まずは鉄則として、

  • 物理学的根拠があり、なるべく自分でも理解できること(科学性)
  • おおよそ万人の聴覚上有意な差があると認められること(客観性)
  • 自分で実践し結果を確認できること(実証性)

これらを満たすものに絞って即物的にやっていく。なんとなく、とか、気がする、などは無用。誰かが言った、とか、どこそこに書いてあった、を鵜呑みにするのも論外。技術の信奉者である自分は音響においても無神論者である。

目的

研究としてはピュアオーディオの部類だが、自分の場合は音楽を楽しむためのセッティングではなく、いかに録音を忠実に再現するかという作曲/マスタリングのためのフラットモニター環境の獲得が目的である。良い音ではなくサウンドリファレンスとして正しい音を求める。そのため音楽的な音響特性の良し悪しは価値判断に含めないものとする。

研究対象

オカルトに走らない意味も込めて、研究対象はリスニングルームとスピーカーのみに絞る。実際これらの影響で音はほぼ全て決まる。アンプやオーディオインターフェイスは後回し。ケーブルだの電源だのはでガタガタ騒ぐ奴は金か時間か脳みその空き容量があり余っている。

資料の選定

調べ物に際して、宣伝性のある資料は用いない。また、主観による価値判断の大きい論評も信用しないよう留意する。具体的には、以下に類する用語を交えたものは話半分の半分の半分でもまだ大きすぎるくらいの信憑性であり判断材料から除外する。モニターの話題でこのセリフを吐く奴は総じてあんぽんたんであるか促販である。

  • コシのある低音
  • 音抜けの良い中音
  • きらびやかな高音
  • パンチのきいた音圧

実験:リスニングルームの定在波を確認する

まず最初に自分のモニター環境がどれほどフラットからかけ離れているのかを実験により確認する。
テストトーン生成用シンセサイザーを使ってサイン波を100Hzから1KHzまで10hz刻みで再生しながらモニタリングポジションの周囲で頭を前後左右上下に移動させてみて音圧に聴覚上の変化が起きるか測定する。
結果、特定の周波数帯で音圧に極端なムラがあることを確認できた。これらの周波数帯がリスニングポジションにおける再生音と反射音の干渉効果、いわゆる定在波の影響が大きいことになる。
周波数ピンポイントでサイン波を出しているとよくわかるが、モニタリングポジション以外の空間座標でも、いかにも音が干渉しあった結果打ち消されて音が消えた、という感じに音圧が下がるポイントが周波数ごとに見つかる。少なくともモニタリングポジション上にある干渉帯域は正しいモニターとしての信頼性に大きく欠けることになり、適切なマスタリングを行える環境とは言いがたい。

今回のまとめ

今回の実験でまず現在のリスニングルームがフラットモニターとはほど遠いと言わざるを得ない状況であること、および定在波の干渉周波数帯域を確認した。専用の音響スタジオでない以上、定在波の影響から完全に逃れることは不可能なのだが、可能な限り影響を弱めることを次の課題とする。スピーカーの位置を手早く移動して試行錯誤するためのスピーカースタンドの入手、また定在波をコントロールするための反射・吸音について考えてみよう。

感想

まず自分は音響のトーシローであるからして膨大な知識要素の前に頓挫しそうではあるが、自分で効果を確認できれば原理もおいおい飲み込めるという期待をこめてオーディオ研究を実践していきたい。今回の実験で一番の収穫は、定在波の確認よりも、とにかく音を出して実験してみれば音の問題点が見つかる、ということである。自分もトーシローであるからして数学物理まるっきり知識がなく及び腰ではあったが、やってみると少なくとも問題点の確認くらいは出来た。問題がわかれば対策の立て様もあることだろう。音響は一部のプロフェッショナルのものではないのだ、という実感が得られただけで儲けものだ。