消え行くレコード、プレス工場

横浜に「東洋化成」という会社がある。日本で唯一のアナログレコードのプレス工場だ。今朝のニュースで知ったが、ここは日本のみならずアジア圏で唯一のプレス工場だそうな。
クラブミュージックの現場においてもまた、レコードの駆逐に拍車がかかっている。言うまでも無いが、デジタル音源の台頭によるものだ。レコードの絶滅までは幾ばくかの余裕があるだろうが、プレス工場は加速度的に消えてゆくだろう。事実、先日、注文を出したプレス工場がアナログを製作前に閉鎖してしまって、あわてて別の工場を探す羽目になった。市場縮小の一端なのだろう。
レコードの原材料は塩化ビニール、つまり石油製品である。どのみちレコードは消え行く宿命ではあった。しかし今やレコードとは音楽メディアにおけるアニミズムそのものであり、レコードの死は音楽への感情移入の一形態が死ぬのと同義ではないか。レコードを残せなくとも、その精神文化をこそ後世へ残すことに意義がある。