タイムストレッチアルゴリズムの概要

Liveのタイムストレッチにはいくつかのアルゴリズムがありサンプルに最適なタイプを選択できる。それぞれの原理を知りたかったがマニュアルにも詳しくは書かれていない。

ビートモード
「打楽器に最適なモード」らしい。4th,8th,16th...など拍数を選べる。指定した拍の頭をなるべく歪まないようにする代わり拍の間で帳尻あわせをしてるのか持続音に激しい歪みが生じる。リズムループ向け。
トーンモード
「はっきりしたピッチ構造をもつ素材」に適したモード。グレインのサイズをコントロールできる。かなり自然なストレッチができるがグレイン単位で間引きを行っているのか時々音が欠ける。BPMも僅かに不安定になる。
テクスチャーモード
「ピッチが描く等高線が不明瞭なサウンドテクスチャー」に適したモード……らしい。なんのこっちゃ。コムフィルターが発生したような音になるので音質補正というよりサウンドメイキングに使うものに思える。カオス。
リピッチモード
いわゆるターンテーブルのピチコン。BPMの加減に従ってピッチが上下する。キーの保持が出来ない代わり至極自然なストレッチが可能。ACIDで言うところのビートマップ。
コンプレックスモード
上記の要素を組み合わせたアルゴリズム。一曲全体にかけてもそこそこ自然な音質になるが高音にやや怪しい部分が出る。ハイハットなど2kHzより上の帯域がダブって発音したようなにじんだ音になる。実用を考えるといまひとつ納得いかない音質だが曲全体に使うならコレか……。しかしこのモードを適用したサンプルをオリジナルBPMで再生するとき最も激しく歪む。なんでだ。

作曲や編集に使うにはかなり高精度のストレッチと言えるが、想定していたライヴセットでキーを保ったままBPMを変更する用途には多少厳しく、工夫が必要。曲によっても最適なアルゴリズムが違うのでそれぞれに適したタイプに調整して複合的に使うことになりそうだ。場合によってはパートごとに異なるストレッチを用いてリコンストラクトしないと駄目かもしれない。